天然物は、人智を超えた多様な構造や活性を有しており、医薬品の候補化合物となるものも多く存在します。しかし、天然物は極微量しか得られない、植物などは成長が遅い、微生物は培養が困難なものが多いといった問題があるため、資源の大量確保は難しいとされてきました。そのため、大量供給の方法として化学合成法が用いられてきました。
化学合成以外の方法として、微生物の発酵で生産されるものなどもありましたが、複雑な生合成経路をすべて異種発現させることは難しいとされてきました。しかし、ポストゲノムの時代になり、複雑な生合成経路を完全に異種発現させたり、生合成遺伝子を入れ替えたりして新規化合物を合成するコンビナトリアル生合成という手法の研究が盛んになってきました。