Quantcast
Channel: 化学者のつぶやき -Chem-Station-
Viewing all articles
Browse latest Browse all 502

化学者がコンピューター計算を行うべきか?

$
0
0

M_R.jpg

大御所「我々の触媒は反応を円滑に進行させぇ、添加剤の有無で選択性を逆転できる事がわかりました」

 聴衆 「おぉ〜、素晴らしい」

大御所「反応メカニズムですが、このような機構だと考えております。」

 聴衆 「なるほど、なるほど」

大御所「さらにDFT計算で遷移状態構造が得られており、選択制が逆転する機構を明らかにしました。」

 聴衆 「...なな、なるほどぉ??」

 オレ 「意義あり!! 添加剤有りの時だけ遷移状態に無理がありすぎるのでは?」

大御所「いや、計算専門の人にやって貰って出た構造だから」

 オレ 「添加剤有無のTSのエネルギー差は選択性に妥当?虚数解の振動方向は?IRC見せてよ?」

大御所「?? 人にやらせた事だから、よく解らないんだよねぇ」

 オレ ((((;゚Д゚)))) 大爆発 ( ´Д`)=3 「ちゃうやろ!反応機構が間違っとる!!」

 

 似たような場面に遭遇した方、居ないでしょうか?上記はフィクションですが、ある日の私の心象風景です。

 紙と鉛筆で書ける反応機構なら、散々あーでもないこーでもない、お前のは間違っとると議論するのに、ここに「計算で出た遷移状態」というのが示されるとみんな静かに「なるほどぉ」と唱えて、「計算で出てるんなら合ってるんだろうね」と思考停止しちゃう。遷移状態無双かっ!葵の御紋かっ!!


Viewing all articles
Browse latest Browse all 502

Trending Articles