「科学者として取り組むべき研究テーマは、どういう指針で選ぶべきなのか?」―これは研究者なら誰しも頭を悩ませる問題でしょう。プロとして現実的に生き残っていくためには、純粋興味のみに依るのではなく、ある程度現実を見据えたテーマ設定が求められることも多くあるからです。また必ずしも研究者を第一志望としてないような学生たちであっても、適切なテーマを与えてやることは、彼らの成長という教育的観点からも意義深いことなのです。
"How to Choose a Good Scientific Problem"(by Uri Alon, Molecular Cell, 2009, 35, 726)[PDF]は、「優れたテーマ選びは、人材育成の一環である」という観点から研究テーマ選びの指針を示したエッセイです。数ページ程度の短文ながら、分野を問わず共通する骨太の内容が述べられています。駆け出しの独立研究者(PI)が想定読者のようですが、経験の浅いメンバーを指導する立場にあり、プロジェクトを牽引することを求められる博士学生・ポスドク・若手スタッフにとっても、必読の文章であると思います。
今回はこの文章から、エッセンス抽出して紹介してみようと思います。