Figure 1. Corannulene
(wikipediaより引用)
フラーレン、カーボンナノチューブ、グラフェン、コラニュレン、ピレン、コロネン。有機化学者に限らず炭素が大好きな科学者の方なら、どれも一度は聞いたことがある化合物ではないでしょうか?これらの化合物はその特異な構造的・科学的特徴から様々な分野での応用が期待されている化合物群であり、次世代マテリアルサイエンスの中核をなす化合物群です。
しかしながら、これらの化合物の応用という話をするとき大きな障壁として、よく立ちはだかるのは量的供給をどうするかという問題です。実際、どんなに世の中の役に立つようなものでも必要量の供給が出来なければ、その恩恵を多くの人に届けることは難しいというのは事実です。
量を供給ができないために研究が進まないということもしばしば聞く話であり、分野の発展には避けては通れない道となります。モノ作りの匠と銘打つ合成化学者としては、この問題はその威信に賭けて解決すべき問題なのではないでしょうか。
そこで今回は、コラニュレンのキログラムスケールでの合成が可能になったという論文を紹介したいと思います!
Kilogram-Scale Production of CorannuleneAnna M Butterfield, Buruno Gilomen, and Jay S. SiegelOrg. Process. Res. Dev., Just Accepted. doi. 10.1021/op200387s