化合物の構造決定には欠かせないNMR(核磁気共鳴分光法)。特に有機化学に関係する学生、研究者ではなくてはならない分析機器であるのは言うまでもありません。ただし、NMRは実は最も感度の悪い分析法の一つなんです。
特に13C-NNR。そもそも炭素の同位体のうち1%ほどしかない原子量13の炭素をみているのだから当たり前かもしれませんが、
サンプルの量が少なすぎて1H-NMRはとれたけど、13C-NMRがとれないよ!
4級炭素が全く見えないよ!
構造を解析するためにHMBC, HMQCなど測定したいだけど、時間がかかりすぎる
などなど、副生成物の同定しかり、さらには最近精密有機合成が増えていますので、世界中で微量サンプルのデータ収集の際に毎回苦労している研究者の姿が思い浮かびます。
そんな皆さんの不満を解決するのは、「極低温プローブ」と呼ばれる、NMR感度を飛躍的に向上させることのできる技術。
今回は、2回に分けて、JEOL RESONANCE社が開発している極低温プローブ
を紹介したいと思います。