ムーアの法則というものをご存知でしょうか?
集積回路中のトランジスタの数が約2年で倍増するという経験則です[1]。近年、増加が限界を迎えていると言われていますが、最近、そこに新しい光が射すような報告がありました。
東京大学中村研究室の辻准教授らは、π共役平面を持つ有機分子を分子ワイヤとして用い、ワイヤ中の電子移動速度が常温・溶液状態で従来の840倍程度まで加速されることを発見しました。
常温で働く分子ワイヤとしては初めての例になります。
"Electron transfer through rigid organic molecular wires enhanced by electronic and electron-vibration coupling"
Sukegawa, J.; Schubert, C.; Zhu, X.; Tsuji, H.; Guldi, D. M.; Nakamura, E. Nat. Chem. 2014, doi:10.1038/nchem.2026