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Channel: 化学者のつぶやき -Chem-Station-
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ルーブ・ゴールドバーグ反応 その1

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 ルーブ・ゴールドバーグ装置(Rube Goldberg Machine)と呼ばれる装置があります。

ボールが転がったりドミノが倒れたりしながら様々なカラクリを通過していく、見ていてとても楽しい装置です。「ピタゴラ装置」などと呼ばれているものが有名です。

タイトル図は「凍りついた道を安全に歩くための装置」!! (Rube Goldberg Machineのサイトから引用しました。)

氷の上で滑ってしまったら……

A パドルを蹴り上げて、

B 指が下がり、

C 亀は指ではじかれると指にかみつくので首がのびて、

D トングが開き、

E 枕が落ちてきて、ふかふかな所に転落して安全!!

装置が作動する前に既に転倒している気がしますが、

そもそも、亀が指にかみつくより先に、装置を取り付けられた犬にかみつかれそうですが、

見ていてとても楽しい装置ですね。

化学反応の反応機構を眺めているとついつい眠くなってしまうこともありますが、眺めていて楽しい反応があればいいですよね。

そんな反応をルーブ・ゴールドバーグ反応と名付け、紹介してみようと思います。

 

*なお、ルーブ・ゴールドバーグ装置は、普通にすれば簡単にできることを、手の込んだカラクリを多数用い、それらが次々と連鎖していく事で表現した装置のことだそうです。しかし今回紹介する反応は、普通にすれば簡単な反応というわけではありません。多数のカラクリを用いており、眺めていて楽しい反応を勝手にルーブ・ゴールドバーグ反応と呼ぶことにしました。誤解のないように念のため補足しておきます。


【読者特典】第92回日本化学会付設展示会を楽しもう!PartIII+薬学会も!

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日本化学会年会ケムステ特別リーフレットをダウンロード!(ケムステ特典と会場の慶応大学日吉周りのお食事処一覧)

 

 いよいよ今年の日本化学会春季年会も今週末と近づいて来ました!これまで2回にわたり、付設展示会のケムステ読者キャンペーンを紹介してきました(第一弾第二弾)。これまでご協力いただきました企業様をもう一度あげておきます。エルゼビア・ジャパンワイリージャパンシグマアルドリッチジャパン和光純薬シュプリンガー・ジャパンバイタージ・ジャパン化学情報協会の7社です。今回はラスト3社、東京化学同人化学同人東京化成工業を紹介させていただきたいと思います(実はまだ具体的な企画をいただいていないところがありますが、時間が無いので公開します。記事は随時更新いたしますので要チェック!)。さらには、読者様から多数ご要望があり、協力企業に交渉した結果、札幌で3月28日よりおなわれる日本薬学会でも一部のケムステ読者キャンペーンを行うことが決定しました!

 

ホウ素から糖に手渡される宅配便

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非天然の人工に設計した化合物で、一見すると単純な構造をしていますが、興味深い用途が提案されています。このホウ素化合物をあなたならば何に使おうと考えますか?

 

1つめのヒントです。最も期待される応用先は医薬品ですが、これ単品では毒にも薬にもならず、とくに生理活性はありません。何かを助ける物質です。

 

2つめのヒントです。構造式を見てまず目につくのはホウ素原子でしょう。この分子のようなボロン酸のなかまは、複数のヒドロキシ基を隣接して持つ化合物と結合しやすく、とくにはボロン酸の重要な標的となります。単糖にはいくつか種類があるものの、立体障害がなければ、ボロン酸は、糖のヒドロキシ基とホウ酸エステル結合を交わそうとする傾向があります。

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ボロン酸の性質

 

3つめのヒントです。アミノ基を導入してある理由は便宜上のものであり、例えばクリックケミストリーでおなじみのアジド基など、別の官能基でも構いません。今回は、カルボジイミドを脱水縮合剤として、この分子でカルボキシル基を修飾するためにアミノ基を導入してあります。

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代表的なカルボジイミドのひとつ

EDC; 1-ethyl-3-(3-dimethylaminopropyl) carbodiimide hydrochloride 

次世代の放射光施設で何が出来るでしょうか?

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xray jpgお医者さんにいくと、X線を使って僕らは自分の体の中の情報を知ることができます。

化学や物理の実験室にいくと、X線を使って僕らは分子や原子の情報を知ることができます。

体の調子が悪い時に、何が原因で知ることが重要なように、なにか新しいものを発見した時に、どのようなメカニズムでその事象が起こっているかを知ることはとても重要な知見です。

X線や電子線は研究者にとっては割と身近な存在で、ある程度の大きさの研究所ではそれらを使った装置はとてもよく使われています。

 

ただしそんなX線や電子線ですが、世の中にはとっても”偉い”X線や電子線があります。それを使うと、より詳細に、より正確に、より多彩な条件でいろいろな事がわかるようになります。

その“偉い” X線や電子線を創りだすのが、放射光施設、シンクロトロンです。

 

化学の資格もってますか?ーその1

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タイトルには「化学の資格」と記載しましたが、医師や弁護士などと違い、化学者になるのに特に必要な国家資格はありません。

とはいえ、世の中には種々の目的で設けられている化学系の資格があり、化学系企業で働いているとそれらの資格を取る取らされる機会があります。今回は研究関係で取得を迫られる化学系の資格についていくつか紹介します。

 

知の市場:無料公開講座参加者募集のご案内

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知の市場」という無料公開講座を開催している団体が受講者募集を行なっています。

知の市場は、共催講座と関連講座の開講を通じて、総合的な学習機会の提供、実践的な学習機会の提供、充分な情報提供と受講者の自己責任による自由な科目選択、大学・大学院に準拠した厳しい成績評価という4つの教育の基本方針の下で活動。2012年度は共催講座と関連講座として全国31拠点で76科目相当を開講しています。2011年度は、654名の講師が参画して全国30拠点で80科目を 開講し、2700名の応募者があったそうです。今回参加者を募集しているのは次の2講座。

この輪っか状の分子パないの!

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某ドーナツ屋の100円セール(2012/03/20~2012/03/25)に行きそびれてしまったので、輪っかの話でもしようかと思います。天然のタンパク質から、人工の高分子材料まで、輪っかでつながる魅力は、ぐんぐん進化しています。このキーワードはカテナンです。

難溶性多糖の成形性を改善!新たな多糖材料の開発に期待!

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石油代替材料の創成~今や非常に重要な研究課題の一つである。

多糖バイオマス。古くから使われ、今もその用途開発が進められている。

しかし適当な溶剤がないなどの難点があり、その成形方法は極めて限られていた。本稿では、多糖に着脱が容易な誘導体化を施すことにより、その成形性を改善した論文を紹介したい。

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捏造は研究室の中だけの問題か?

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 今回はScientific Misconduct、いわゆる「データ捏造」について思うところありまして記載させていただきます。

ダイヤモンドは砕けない

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4月の誕生石 ダイヤモンド

 

世界一ダイヤモンドは硬いため、他の物質では歯が立たず、ダイヤモンドはダイヤモンド自体でもって磨かれます。なんという発想の転換、子どもの頃それを聞いて驚いたものです。4月になりましたので誕生石にちなんで、ダイヤモンドがなぜ磨けるのか、分子動力学のシミュレーション結果を紹介したいと思います。ただ単に、硬いもの同士で砕かれていたというわけではないようですよ。物理変化だけではなく、ダイヤモンドの研磨に潜んでいた化学反応とはいったい? 

みんなーフィラデルフィアに行きたいかー!

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『みんなーニューヨークに行きたいかー!罰ゲームは恐くないかー!』

ええ古いですとも。今の大学院生には通じないなんて重々承知しています。でも子供心に将来はあの番組に絶対参加するんだって思ってたんです。こう見えても私ジャンケンは強いので、空港で勝つ自身はありました。えーっとそこの若者よ意味分からないからってスルーしないで。耳寄りな情報があるんです。

 

Dead Endを回避せよ!「全合成・極限からの一手」④

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「極限からの一手」コーナーでは筆者の独断と偏見に基づき、全合成における優れた問題解決とその発想を紹介してみたいと思います。困難に直面した全合成化学者がいかにして創造的発想からの解決に至ったか、それを追体験できるようなクイズ形式にしています。

第4回は、北海道大学の宮下正昭・谷野圭持らによるNorzoanthamineの全合成(2004)を紹介したいと思います。

(※過去の問題はこちら:

東大、京大入試の化学を調べてみた(有機編)

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今春めでたく大学にご入学された方。おめでとうございます!これから益々勉強して(特に化学)、将来の化学の発展に是非とも貢献して頂きたいと思います。

また、残念な結果だった方、これから大学受験を控えているという方、是非とも頑張って化学の道を志して下さい!たまには息抜きにケムステの記事を読むこともお忘れなく。

さて、以前中学入試における化学の問題を紹介しましたが、今回のポストは我が国最高峰、最難関の大学入試における化学の問題を少し紹介してみたいと思います。

 

生きたカタツムリで発電

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とある蝸牛の超発電法

生きたままのカタツムリに電極を取りつけ、電気としてエネルギーを取り出すことに成功。決め手はカーボンナノチューブにつながれた2種類の酵素にあり!? 

画像は論文[1]より

実験ノートの字について

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 4月になり、大学によっては学生さんが研究室に配属されて実験ノートを書き始める季節ですね。筆者もかれこれ10年ほど前に研究室に配属されて「実験ノートは他の人が実験を再現できるように書く」などの指導を受けた気がします。指導を受けて最初数ページくらいはそこそこ丁寧な字で書いていたのですが、元々字がきれいな方ではないことや、ノートを書くこと自体面倒くさかったこと、加えてその頃は実験ノートは読めないくらいがかっこいいと思っていたこともあり、すぐに雑な字で実験ノートを書くようになりました。

 

今となっては当時の自分に「そんな字で大丈夫か?」と問いかけたいところです。まあ恐らく、「大丈夫だ、問題無い」と答えると思いますが・・・。

 


【追悼企画】生命現象の鍵を追い求めてー坂神洋次教授

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「おーいあの仕事進んでるのかい? A君の方はだいぶ進んでるみたいだぞー」

人なつっこそうな笑顔がとても印象的で、こんな若輩の仕事のことも気にしてくださるフランクな先生。それが名古屋大学生命農学研究科坂神洋次先生に対する筆者の印象です。(写真はGCOEのページより引用改編)老若男女を問わず、酒席を共にし先生の薫陶を受けた若い研究者、研究者の卵たちは数知れないはずです。

農学畑の有機化学者で坂神先生の事を知らない者はありません。先生が微生物や植物から次々と見いだしてくる、極めて重要な生理活性天然有機化合物は、生物学者、化学者に強烈なインパクトを与えるものばかりでした。

しかし、我が国を代表する天然物化学の巨星とも言える坂神洋次先生は、膵臓ガンとの闘病も虚しく2012年4月9日にこの世を去ることになりました。享年63。まだ現役の教授職にありながらの突然の死は、先生のお人柄を知る私たちにはとても信じ難いものでした。

SDFって何?~化合物の表記法~

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 SDFって御存知ですか?

 例えば、海外試薬メーカーのカタログを貰おうとすると

「じゃ、SDFで送りますね~」。

あるいは、ComputerChemistとの構造式のやり取りで

「化合物一覧をSDFで送って」

などと言われたり。「まぁ、構造式の表記の1つなんだな」という認識でいる方が多いでしょう。実務面はその認識だけで問題無いです。

 ですが、SDFなどの構造表記法の裏側には「ヒト」と「コンピューター」の認識差が潜んでいると思うんです。知らなくっても何も困らないんですが、幾つかの化合物表記法を(長々と)紹介するのお付き合い下さい。

ルーブ・ゴールドバーグ反応 その2

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 こんにちは。新年度がスタートしました。本年度もChemStationを楽しんでいただければと思います。

 さて、前回に引き続きルーブ・ゴールドバーグ反応を紹介します。「ルーブ・ゴールドバーグ反応」というのは、ピタゴラ装置などに代表される「ルーブ・ゴールドバーグ装置(Rube Goldberg Machine)」のように様々なカラクリを経由する楽しい反応のことです。
勝手な定義です。一般的な名称ではありませんから、これから就職活動される方は間違えて使わないように気を付けてくださいね。まぁ使わないと思いますが……

 ちなみにタイトル図は寝過ぎないための装置。研究者はどうしても不規則な生活になりがちですのでこの装置を利用してみたらいかがでしょうか。ベッドを起こすほどの重たい球が転がっていきますので、利用の際は球を処理するための装置も別途必要となりますが……

すりつぶすと失われるもの

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タンパク質だけではなく、ビタミンでも医薬品物質でも、原理的にはすべての化合物の生体内分布を、生きたまま観察できる方法が、新たに開発されました。リボスイッチによる低分子化合物の生体イメージング技術とはいったいなんぞや?

Dead Endを回避せよ!「全合成・極限からの一手」④(解答編)

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このコーナーでは、直面した困難を克服するべく編み出された、全合成における優れた問題解決とその発想をクイズ形式で紹介してみたいと思います。

第4回は宮下・谷野らによるNorzoanthamineの全合成を取り上げました(問題はこちら)。今回はその解答編になります。

Total Synthesis of Norzanthamine
Miyashita, M.; Sasaki, M.; Hattori, I.; Sakai, M.; Tanino, K. Science 2004, 305, 495. DOI:10.1126/science.1098851

 

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