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Channel: 化学者のつぶやき -Chem-Station-
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リチウムにビリリとしびれた芳香環

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リチウムイオン電池の電極として炭素材料は注目を浴びてきました。あなたが今お使いのノートパソコンにもリチウムイオン電池が使われているかもしれませんね。

炭素材料はたいていグラフェンを用います。グラフェンは芳香環が延々と続いたような化学構造をしています。今回、芳香環を持ったモデル化合物を用いた実験により、リチウムイオン電池がどこまで高性能になるのか、新たに限界が明らかにされました。芳香環と芳香環の間に最大いくつまでリチウムイオンをためられるのか、限界を迎えたときに炭素骨格はどうなるのか、その答えはいかに!?


Whitesides教授が語る「成果を伝えるための研究論文執筆法」

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今回はアメリカ化学会(ACS)から公開されているGeorge Whitesides教授へのインタビュー動画を紹介します。

論文執筆法のQ&Aという体裁をとっていますが、その実は独自の研究哲学をシンプルな言葉で語ったものです。「そもそも科学研究とはどういう営みなのか」「科学者に必要とされることとは、現実的に何なのか」などにまで及ぶ、メッセージ性の強い動画です。小手先の執筆テクニックなどには一切触れていません。

どの発言も多くの示唆に富んでおり、氏の斬新な科学観をわずか8分間で濃密に学べる、研究者なら一度は見ておくべき動画です。

今回は動画の字幕に補足する形で、氏の研究哲学に詳しく迫ってみようと思います。

氏の主張を統合するキーワードは、『伝達』です。

ルテニウム触媒を用いたcis選択的開環メタセシス重合

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(画像は下記論文のTOCを引用)

近年、Grubbs・Schrock・Hoveydaらを中心に、立体選択的なメタセシス反応の開発が進められており、ケムステにおいても紹介してきました(こちらこちら)。
低分子化合物だけでなく、高分子合成においても立体選択的メタセシスが適用されている例として、cis選択的開環メタセシス重合に関するGrubbsグループの論文をご紹介したいと思います。
 
Cis-Selective Ring-Opening Metathesis Polymerization with Ruthenium Catalysts
Keitz, B. K.; Fedorov, A.; Grubbs, R. H.*
J. Am. Chem. Soc., 2012, 134, 2040–2043. DOI: 10.1021/ja211676y 

Reaxys Prize 2012ファイナリスト45名発表!

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 エルゼビアが主催するReaxys Prize (正確にはReaxys Ph.D Prize)。今回で3回目となり、ケムステでも毎回大々的に宣伝させていただいているのでかなりの認知されつつあると思います。

そう、特に日本では修了見込みの博士課程の学生(主に有機化学、無機化学)がはじめてトライできる国際賞です。応募はCV(履歴書)と推薦書、そして自身が関連した仕事の論文1報だけで応募することができます。第一次選考を勝ち残った"強者"45名(ファイナリスト)には、毎回国際学会へ無料招待(参加費、交通費、宿泊費込)の特典あり!、その内最終選考で選ばれた3名には2000ドルのお小遣い、口頭発表付きともあって競争率が年々あがっています。

今年はフィラデルフィアで行われるACS meetingにご招待!羨ましい限りです。すでに半年ほど前に今年の分の締切は過ぎましたが、昨日最終選考に残った45名が発表されました!

なんと全世界から350通もの応募があったようで、ファイナリストに残るだけでもおよそ13%の狭き門。それを勝ち抜いた未来を担う化学者の卵を日本人(日本の大学在籍)を中心に簡単に紹介したいと思います!

 

アジサイには毒がある

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夏もなほ心はつきぬあぢさゐのよひらの露に月もすみけり 藤原俊成 

6月になりました。およそ日本全国にわたり、梅雨の季節。ジメジメして過ごしにくくもありますが、雨に濡れたアジサイを見て、6月なのだとわたしたちは季節を感じたりもします。そんなわけで、アジサイに含まれる成分について、記事を書こうかと思います。

実は、アジサイには毒があるのです!

 

アジサイから薬ができる

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6月になりました。およそ日本全国にわたり、梅雨の季節。ジメジメして過ごしにくくもありますが、雨に濡れたアジサイを見て、6月なのだとわたしたちは季節を感じたりもします。そんなわけで、アジサイに含まれる成分について、記事を書こうかと思います。

毒ばかりでなく、アジサイには薬になる別の成分も含まれているのです!

アロタケタールの全合成

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環状アデノシンモノリン酸cAMPのシグナル伝達を活性化する生理作用を持ち、複雑な三環スピロケタール構造を持ったアロタケタールの全合成が報告[1]されました。海綿のなかまから単離されたこの化合物、First Synthesisの合成戦略やいかに!?

 

ドライアイスに御用心

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 2012年6月9日岐阜県可児市今渡の広場で、小学3年から中学2年の男子9人が500 ml容ペットボトル2本に保冷用のドライアイスを砕き、水と一緒に入れて蓋で密封して遊んでいた。数人がペットボトルを蹴るなどしていたところ、ペットボトルが突然破裂した。

 飛び散ったペットボトルの破片が中学2年の男子生徒(13)の右目の眼球に刺さり、病院に運ばれたとのこと。一緒に遊んでいた男子は「インターネットの動画サイトでペットボトルを破裂させているのを見て、自分たちもやってみたかった」と話しているという。

以上YOMIURI ON LINEなどの報道より引用加筆
 


【書籍】『これから論文を書く若者のために』

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これから論文を書く若者のために 大改訂増補版

 

これから論文を書く若者のために』、縮めて「これ論」。

この書籍には、標題(タイトル)・導入(イントロダクション)・結果(リザルト)・考察(ディスカッション)それぞれで、何を書くべきか、どうしてそのように書くべきなのか、理念がユーモアあふれる構成でまとめられています。学術論文では何を書くべきなのかを解説した本であり、論文で用いる文章表現・英語表現を解説した本とは、一線を画します。

エチレンをつかまえて

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有機化学の研究では生理活性よりも複雑構造の天然化合物ばかり注目されるものではありますが、その逆をいって、植物ホルモンとしても知られるエチレンの化学を、ひとつ紹介したいと思います。小さく単純なエチレンを、どうつかまえて制御するのか、最先端の化学材料が挑みます。その鍵は、植物のエチレン受容体タンパク質と同じく原子にあり!?

"関節技"でグリコシル化を極める!

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有機化学反応において優れた触媒や活性化剤で所望の化合物を得る。

それはプロレスにたとえると、十六文キックやウエスタンラリアット、実に華々しいインパクトのある決め技です。

でも、じわじわと関節をきめて締め上げる関節技は、見た目の派手さは無いものの、ほぼ間違いなく"仕留める"ことが可能です。

今回、まるで"キャメルクラッチ"や"吊り天井固め"等のようにプロレス技を模倣する、グリコシル化反応の高度な立体選択性を制御したという論文を紹介します。

 

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進化する電子顕微鏡(TEM)

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“化学者は分子、原子レベルで世界を見ることが出来る人のことである”

 

といつかのセミナーで聞いたことがあって以来、僕はこの言葉をなかなか良い言葉だなぁと思って心に留めています。

 

普通の人がそのものとしてみている、“洗剤”や“料理などのプロセス”や“医薬”を分子レベルの動きとして“見る”、そんなパラダイムを胸に化学者は研究している気がします。

ただし、化学を勉強していない人が、そういった「見かた」をするのに、ちょっと勉強が必要になるのも事実です。

しかし!そんな勉強をする必要なく、分子、原子レベルで物を「見る」ことが出来るのです。そんな魔法の装置、それが「電子顕微鏡」、特に今回は近年発展の目覚しい「透過型電子顕微鏡、TEM」を紹介したいと思います。

JSRとはどんな会社?-1

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 今回はJSR株式会社のご紹介を致します。ディスプレイ部材や半導体用材料でその存在感をますます増しつつあるこの会社。一体どのような会社なのでしょうか?

B≡B Triple Bond

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近年、ますます発展しているホウ素化学分野。その美しい有機ホウ素分子群の中に、また新たな化合物が加わりました。

 

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「天然物ケミカルバイオロジー分子標的と活性制御シンポジウム」に参加してきました

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新学術領域研究「天然物ケミカルバイオロジー~分子標的と活性制御~」第2回公開シンポジウムが、平成24年の6月17日日曜日から18日月曜日にかけて、東京大学弥生講堂で催されました。講演・ポスター発表は参加無料だったので、お邪魔しに行ってきました。


JSRとはどんな会社?-2

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 前回に引き続き、今回はJSRの研究開発の一例をご紹介いたします。

世界が終わる日までビスマス

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昔に中学校か何かで見た周期表を思い出してください。質量数が最も小さな安定同位体は水素1(1H)ですが、質量数が最も大きな安定同位体は何でしょうか?

「ビスマスです!」

いえいえ、ビスマスに安定同位体はありませんよ!?

低分子化合物の新しい合成法 〜コンビナトリアル生合成〜 生合成遺伝子の利用法 Total Synthesis vs Total Biosynthesis

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 天然物は、人智を超えた多様な構造や活性を有しており、医薬品の候補化合物となるものも多く存在します。しかし、天然物は極微量しか得られない、植物などは成長が遅い、微生物は培養が困難なものが多いといった問題があるため、資源の大量確保は難しいとされてきました。そのため、大量供給の方法として化学合成法が用いられてきました。

 化学合成以外の方法として、微生物の発酵で生産されるものなどもありましたが、複雑な生合成経路をすべて異種発現させることは難しいとされてきました。しかし、ポストゲノムの時代になり、複雑な生合成経路を完全に異種発現させたり、生合成遺伝子を入れ替えたりして新規化合物を合成するコンビナトリアル生合成という手法の研究が盛んになってきました。

 

除虫菊に含まれる生理活性成分の生合成酵素を単離

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夏、の季節です。

今年に入っておりしも、蚊取り線香でおなじみ除虫菊に含まれる生理活性物質について、生合成の鍵となる酵素が解明されました。この酵素は、アルコール成分とカルボン酸成分のふたつの大きなサブユニットを、除虫菊の生理活性物質についてエステル結合で連結します[1]。

そこで、除虫菊の生理活性成分をめぐり、生合成の鍵反応をいくつか紹介したいと思います。最終産物の構造をじっくり見ながら、どのような前駆体が登場するか、想像してから続きをお読みください。「アルコール成分の五員環はどう作るの?」・「カルボン酸成分の三員環はどう作るの?」・「エステルは直接に縮合するの?」……鍵反応を当てられたらめっけものです。 最終産物の構造をじっくり見ながら、どのような前駆体が登場するか、想像してから続きをお読みください。「アルコール成分の五員環はどう作るの?」・「カルボン酸成分の三員環はどう作るの?」・「エステル結合はそのまま直接に縮合してできるの?」……鍵反応を当てられたらめっけものです。

U≡N結合、合成さる

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